埼玉県所沢市の歯医者、新所沢ぎぼ歯科・矯正歯科院長の儀保逸哉です。

今回は、「矯正治療中に、むし歯ができてしまったら？」についてお話をしていきます。

矯正相談の際に患者さんからも聞かれることがよくありますが、結論から申し上げると、矯正治療中にむし歯ができてしまった場合でも、必ず治療を行います。

むし歯を放置して矯正治療を進めることはありません。

矯正装置の種類やむし歯の進行度合いによって治療方法やタイミングは異なりますが、歯の健康を最優先に考え、最善の方法で対応します。

[目次]

１．なぜ矯正治療中はむし歯になりやすいのか？

・装置による清掃の難しさ

・ 歯磨き時間の増加とモチベーションの維持

・ むし歯になりやすい場所

２．矯正装置の種類別むし歯治療への影響

・ワイヤー矯正（ブラケット）の場合

・マウスピース型矯正（インビザラインなど）の場合

・舌側矯正（リンガル矯正）の場合

３．むし歯予防が矯正治療成功の鍵

・適切な歯磨き指導とセルフケアの徹底

・歯科医院でのプロフェッショナルケア（PMTC・フッ素塗布）

・食生活と間食の見直し

１. なぜ矯正治療中はむし歯になりやすいのか？

矯正治療を始める多くの方が、「矯正中はむし歯になりやすい」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、事実として、矯正治療中にむし歯になってしまう患者さんがいらっしゃいます。

・矯正装置による清掃の難しさ

ワイヤーやブラケットのような矯正装置は、歯とブラケットの境目、奥歯の複雑な溝などは、通常の歯ブラシでは届きにくく、汚れがたまりがちです。

また、マウスピース矯正治療でも、３日程度経つとマウスピースの表面に歯垢が付着しているのが目視できますので、矯正治療中は、よりセルフケアが重要です。

・歯磨き時間の増加とモチベーションの維持

矯正装置があることで、歯磨きには普段の2倍以上の時間と手間がかかります。

ブラッシングだけでなく、歯間ブラシやタフトブラシなど複数の清掃補助用具を駆使する必要があるため、

「今日は疲れたから短めに…」と、セルフケアのモチベーション維持が難しくなることがあります。

歯磨き時間が減ることで、むし歯のリスクを高めてしまいます。

・むし歯になりやすい場所

矯正治療中に特にむし歯になりやすいのは、以下の場所です。

→ブラケットの周囲・縁：装置のフチに沿ってプラークが溜まり、むし歯の初期症状であるホワイトスポット（白濁）ができやすいです。

→歯と歯の間（歯間）：矯正によって歯が動き、今まで磨きにくかった部分が露出し、汚れが残りやすくなります。

→奥歯の噛み合わせの面：ワイヤーによって奥歯が磨きにくくなり、溝の汚れが取り残されがちです。

２. 矯正装置の種類別むし歯治療への影響

装置の種類によって、むし歯治療の難易度や手順が異なります。

・ワイヤー矯正（ブラケット）の場合

ブラケットの真下にむし歯ができた場合、そのブラケットを一度丁寧に取り外す必要があります。

治療が完了したら、同じ場所にブラケットを再装着（リボンディング）し、ワイヤーを戻します。

・マウスピース型矯正（インビザラインなど）の場合

マウスピース矯正は、食事や歯磨きの際に装置を取り外せるため、むし歯治療の自由度が最も高いです。

むし歯治療中はマウスピースの装着を一時的に控え、治療が完了したら、新しい歯の形に合わせてマウスピースを再製作（または次の段階のアライナーに移行）します。

・舌側矯正（リンガル矯正）の場合

歯の裏側に装置があるため、治療が最も困難です。

裏側の装置に覆われた部分のむし歯治療は非常に難しく、多くの場合、装置の一部または全部を撤去する必要があります。

治療後は再度精密に装置を装着し直します。

３. むし歯予防が矯正治療成功のポイント

むし歯治療のために矯正が中断すると、矯正治療期間が延びるだけでなく、治療費の増加にもつながりかねません。

予防こそが、最も早くゴールにたどり着くためのポイントです。

・適切な歯磨き指導とセルフケアの徹底

当院では、矯正装置装着後、最低でも30分以上をかけて、個々のお口の状態に合わせた歯磨き指導を行います。

→矯正用歯ブラシ：ブラケットの上部・下部・ワイヤーの間など、角度を変えて細かく磨きます。

→タフトブラシ：ブラケットの周りや奥歯の細部にピンポイントで使います。

→歯間ブラシ：ワイヤーの下を通して、歯と歯茎の境目や歯間を清掃します。

・歯科医院でのプロケア（PMTC・フッ素塗布）

ご自宅でのセルフケアだけでは限界があります。

当院では、最低でも2～3ヶ月に一度のペースで、歯科衛生士によるプロケア強く推奨しています。

専門器具で徹底的にプラークを除去し、歯を強化することで、むし歯のリスクを大幅に下げることができます。

・食生活と間食の見直し

甘いものや粘着性の高い食べ物（キャラメル、ソフトキャンディなど）は、装置に絡みつきやすく、むし歯菌の温床となります。

→だらだら食いを避ける：間食の回数を減らし、お口の中が酸性になる時間を短くしましょう。

→飲食後のうがい・歯磨き：ジュースや炭酸飲料を飲んだ後も、できればすぐに水でうがいをするか、歯磨きをしましょう。

◎まとめ

矯正治療中にむし歯ができてしまったら、治療をすることが、歯の健康を守るための最優先事項です。

むし歯が見つかっても、ほとんどの場合は矯正治療を大きく中断することなく対応が可能です。

大切なのは、「むし歯になったらどうしよう」と不安に思うよりも、むし歯を予防するための日々の努力です。

所沢市の新所沢ぎぼ歯科・矯正歯科では、矯正治療中のお口の健康を維持するために、装置に合わせた徹底的な歯磨き指導と予防治療を行っています。

美しい歯並びと、健康な歯を同時に手に入れるため、一緒に頑張っていきましょう。ご不明な点やご不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。